IDCF テックブログ

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クラウド・データセンターを提供するIDCフロンティアの公式テックブログ

VMworld 2019 US 参加レポート

はじめまして、クラウド本部 クラウドインフラ部の松本です。

プライベートクラウド基盤の構築・運用と、IDCフロンティアが扱うクラウド内での移行に関する業務に携わっています。
今回私は、IDCFクラウドの管理基盤ソフトウェアであるvSphereと、 関連製品・ソリューションを展開するVMware社のイベント「VMworld 2019 US」 に参加してきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
開催時期は2019年8月25日から8月29日まで、開催場所はアメリカ合衆国のサンフランシスコです。

www.vmworld.com

私は入社して以来、構築・運用・障害対応・バージョンアップなどでvSphereのvCenterやESXiに触れてきましたが、 ありとあらゆる場所で*1、 vCenterやESXiとそれに関連するVMware用語が(英語で)飛び交っている環境はとても新鮮でした。

参加の目的

イベントに参加した目的は、クラウド基盤をより良いものとしていくための技術動向のリサーチと、「世界のトレンドを体感する」ということです。
技術的に何ができるか、できるようになるかを知るだけでなく、 どのような技術になぜ関心が持たれているのかを知ることもまた大切なことだと思います。 そのような世界的なトレンドは、セッション数の分布でもわかりますし、 実際参加したセッションの熱量(質問数や、議論の白熱度合いなど)でもわかります。
後で記事になったものでは伝わりにくいこのような部分を体感できるのも、 実際にイベントに参加したからこそです。

VMworld とは

VMware社主催のイベントで、VMware製品の新バージョンやロードマップについての紹介、 ITの最新技術を扱った技術セッションなどで構成されます。
2004年以来毎年開催され、今年の会場はサンフランシスコ市のモスコーニ・センターでした。 近年は(アメリカでは)ラスベガス開催が主でしたが、今年は原点回帰でサンフランシスコが会場になったようです。

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メイン会場の Moscone Center South

VMworldは毎年テーマが決まっていて、今年は Make Your Mark でした。

General Session

8月26日・27日の二日間、それぞれVMware社CEO:パット・ゲルシンガーとCTO:レイ・オファレルが製品のロードマップや事例を紹介するセッションで、参加者の大多数が一堂に会する数少ない場*2でもあります。

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会場の様子。

VMworld 2019 US | General Sessions | VMware

General Sessionはその性質上、技術に関する詳細な話はあまりされない傾向にあります。ただ、CEOやCTOがどのような意志と理念で何に注力していくつもりなのかが強くあらわれる場なので、必聴のセッションです。この場でこそ発表されるサプライズもあります。今回は8月27日のセッションで、グレッグ・ラベンダーが新たなCTOに就任するという発表がありました。

General Sessionの概要はリンク先の記事がわかりやすいので、ご参照ください。
ASCII.jp:「VMware Tanzu」発表、“エンタープライズKubernetes”加速を支援 (1/2)

注目の技術・ソリューション

今回のVMworldは、何かひとつ目新しい技術が発表されるというよりも、既存の製品とVMware社が買収した製品とを組み合わせることで成立するクラウドのポートフォリオ全体を推していた印象です。
クラウドサービスとその技術がかなりの程度浸透したからこそ、レガシーなシステムのクラウド化やモダナイズ(コンテナ化)、そしてクラウド間の移行技術に関心とニーズが集まっていて、それに応える形でVMware社も包括的な解決策と道筋を提示しているのでしょう。
その中でも目を引いた注目の技術は次の2つです。

  • VMware Tanzu
  • NSX-T

やはり今回の目玉は「Tanzu」と命名された、vSphere上でのKubernetes(k8s)を統合管理するソリューションだと感じました。
ただ単にvSphere上でコンテナが動くという話ではなく、ESXiというVMware社の提供するハイパーバイザーOS自体にk8sを実行&管理する機構を組み込み、ESXiの管理サーバーであるvCenter上で、コンテナが仮想マシンと同様に管理可能になる構想です。
アプライアンスや連携のソリューションではなく、vSphereの核であるESXi自体に大きな変更を加えることでコンテナ技術に対応しようというところに、VMware社の本気が伺えます。
Tanzuは製品名ではなくブランド名とのことで、vSphereのコンテナ対応とマルチクラウド環境の統合管理に関わるさまざまな製品で構成されるようです。

NSX-Tは以前から存在し、既に多く利用もされているVMwareのネットワーク仮想化ソフトウェアですが、今までに備わっていなかった機能が多数追加されフルスタック化するということで、非常に注目されていました。
今まで導入しようとしても必要な機能が足りないために見送っていた人も、いよいよネットワークの仮想化を考えようかな、という時期なのだと思います。実際に製品を体験できるハンズオンラボのTOP10コンテンツの1位はNSX-Tで、関心の高さが伺えます。

所感

仮想化やコンテナ化がもはや当然であり、前提の世界であるということが改めて体感できた貴重な機会でした。
入門用セッションを除くと、どの場所、どのセッションでもコンテナ化とは?やKubernetesとは?というような導入や注釈を見かけることがなく、用途や要件でクラウドを使い分けるマルチクラウドの世界を前提としたソリューションや技術が多く展示されていました。セッション数は全体で700ですが、そのうちの過半数の474がHybrid Cloud,Modern Apps,Multi-Cloudをテーマにしていたようです。

また、世界各国のクラウドベンダーが抱える悩みや要望が、私たちが抱えるものと非常に近しい、もしくは同じであると知ることができたことも収穫だったと思います。
誰もがレガシーなシステムの移行に苦しんでいたり、コストに見合う製品をなかなか見つけられなかったり…課題が似通っているからこそ、解決することができればそれはきっとワールドワイドにも通じるものになるでしょう。
そのような、根本的な部分での課題解決ができるエンジニアになりたいなと、決意を新たにしました。

今後もIDCフロンティアは様々なイベントに参加し、このブログでレポート記事を投稿したいと思いますので、ご期待ください!

*1:会場内だけでなく、街中のお店でも参加者による仮想化技術の議論が交わされている光景を目撃しました。お店の中で、「もしかして貴方、VMworldの参加者ですか?」というやりとりも2度ほどありました。

*2:本セッション以外で多くの参加者が集まるのは、イベントの最終日に開催される“フェス”です。

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