今回から「IDCFクラウド豆知識講座」と題して、IDCFクラウドに関する「実は知らなかった」「ここがよくわからない」といったポイントを取り上げ、シリーズ化してご紹介していきたいと思います。既にあるFAQなどのドキュメントにプラスした内容によって、初心者の方はもちろん、長くご利用いただいているユーザーの方にも新たな使い方の発見につなげていただけることを目指します!不定期での登場になりますが、ぜひご期待ください!
ではさっそく、本日の本題へ参りましょう。
みなさん、IDCFクラウドで仮想マシンを作成するときに「イメージ」の項目でテンプレートを選択しますよね。
今回はユーザー自身でテンプレートを作成する方法を次の流れでお話したいと思います。
1. テンプレートとは
2. インポート
3. エクスポート
4. まとめ
▲図1 テンプレートのインポート/エクスポート概念図
1. テンプレートとは
テンプレートとはOSやミドルウェア、アプリを含め各種設定情報をまとめたイメージのことで、このテンプレートを使うと仮想マシンを手軽にセットアップすることができます。
IDCFクラウドのテンプレートにはいくつかの種類があります。
・標準テンプレート(無償/有償)
・マイテンプレート
・標準ISOテンプレート
・コミュニティテンプレート
「マイテンプレート」はユーザーがカスタマイズしたOSイメージのことです。本記事の対象となるのはこのマイテンプレートになります。
その他のテンプレートについてはサービスページをチェックしてみてください。
マイテンプレートの作成方法には、大きく分けて次の2通りがあります。
1. IDCFクラウド環境内の仮想マシンから作成
2. 外部のOSイメージ(OVAファイル)をテンプレート作成画面からインポート
今回は2つめのテンプレート作成画面を用いる際の設定を紹介します。
2. インポート
上記で紹介した2つめの作成方法はインポート機能とも呼ばれており、異なるリージョン間でのテンプレート移動時にも活用できます。また、外部環境にあるOVAファイルを持ち込むことができるので、例えば自前のVMware環境下の仮想マシンをIDCFクラウド環境に移設(コピー)することも可能です。ではさっそく作成画面のパラメータを見ていきたいと思います。
▲図2 テンプレート作成画面(上部)
作成時のパラメータは全部で14個あります。次の表で各項目をご説明していきます。
▼表 テンプレート作成画面の各種パラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
テンプレート名 | クラウドコンソールで管理するためにつける名称です ※アカウント内でユニークである必要があります |
説明 | 管理しやすいように作成するテンプレートの説明を記述します |
ゾーン | テンプレートを作成する対象のゾーンを選択します ※同一リージョン内ではゾーン間コピーができます (リージョンとゾーンについてはこちらをご参照ください) |
許可IPアドレスリスト | OVAファイルの保存先を参照するIDCFのIPアドレス群です 上記でゾーンを選択すると自動で入力されます ※OVAファイルを外部の保存先から取得する際は、必要に応じてこちらに自動入力されるIPアドレスに対しアクセス許可をしてください |
URL | OVAファイルの保存先や別アカウントでエクスポートした際のURLを指定します ※httpのみ対応です。IDCFクラウドからエクスポート時に発行されたURLはhttpsの"s"を取ってご記入ください |
ハイパーバイザー | デフォルトでVMwareが指定されます |
OSタイプ | ハイパーバイザーが認識するための情報です 作成するテンプレートに近いOSタイプ(バージョン)を選択してください 例:CentOS 6.9 64bitをインポート →CentOS 6.7(64-bit)かOther CentOS(64-bit)を選択 ※64bit/32bitにお気をつけください |
フォーマット | デフォルトでOVAとなります |
エクスポート | 作成するテンプレートのエクスポートを許可する場合は「有効」を選択します ※一度設定するとクラウドコンソールからの変更はできません ※後からAPI経由で変更可能です |
パスワードリセット | 作成した仮想マシンのパスワードリセットを許可する場合は「有効」を選択します ※CloudStackのオプション機能のため、テンプレートの元となるボリュームがIDCF標準提供のテンプレートを使用している場合のみ利用可能です ※一度設定するとクラウドコンソールからの変更およびAPI経由での変更はできません ※Linux系OSのみの対応となります |
ダイナミックスケール | 仮想マシンを停止させずにクラウドコンソールからのスペック変更を許可する場合は「有効」を選択します ※このパラメータは後からAPI経由で変更可能です |
ルートディスクコントローラ | ルートディスクの種類を「SCSI/IDE/auto」から選択します 基本的には性能が良いSCSIをご選択ください ※SCSIが利用できないOS(IDE利用)もあるのでご注意ください ※「auto」を選択するとOSタイプに準拠します |
NICアダプタ | ネットワークアダプタの種類を「Vmxnet3/E1000/PCNet32/auto」から選択します 基本はVmxnet3をご選択ください ※準仮想化NIC(Vmxnet3)を利用できない場合は、OSタイプに合わせてE1000、PCNet32をご選択ください ※「auto」を選択するとOSタイプに準拠します |
キーボード | IDCFクラウドではコンソールアクセスが可能です コンソールアクセス時に使用するキーボードを「Japanese/US」から選択します ※お手元のキーボードに合わせた選択をおすすめいたします |
以上のパラメータを設定し「テンプレートを作成する」をクリックします(図3)。
▲図3 テンプレート作成
「テンプレートを作成しますか?」のポップアップで「はい」を選択し、テンプレートの一覧画面でステータスが「Creating」から「Download Complete」になれば作成完了です(図4)!
▲図4 作成したテンプレートのステータス確認
なお、外部からOVAファイルを持ち込む際にはいくつか注意点がありますのでこちら(FAQ)をご参照ください。
3. エクスポート
ここまでテンプレートの作成(インポート機能)について見てきました。続いてエクスポート機能についても簡単に紹介します。
異なるゾーンでテンプレートを使用したい場合は「テンプレートコピー」という機能で実現できます。しかし、テンプレートコピーは同一リージョン内のみ有効です。リージョンが異なる場合はエクスポート機能を使ってテンプレートをエクスポートし、それをインポートすることによって実現できます。別アカウントで作成したテンプレートを使用したい場合も同様です。
また、テンプレートのエクスポート機能は上記以外にも次のようなシーンでの活用方法があります。
・エクスポートしたテンプレートをOVAファイルでローカル環境にダウンロード、バックアップとして保持
・IDCFクラウド以外の外部VMware環境に仮想マシンの複製をデプロイ
実際にエクスポートする方法はとても簡単です。
クラウドコンソールでテンプレート一覧に移り、エクスポートしたいテンプレートを選択します。
▲図5 テンプレート選択画面
開いた画面右上のタブに「エクスポート」があるのでこちらを選択します(図5)。そうすると「URLを発行する」というボタンがありますので、クリックしてURLを発行します。これでエクスポートは完了です!
▲図6 発行されたURL
ここで発行されたURL(図6)をコピーし、先ほどのテンプレート作成のパラメータ「URL」にペーストすることでインポートが可能となります。その際、表でも補足しましたが「https」の「s」を取ることを忘れないよう注意してください。httpsのままですと入力がエラーとなり作成の実行ができません。
その他にもエクスポート/インポート時の注意点があるのでご注意ください。
1. 次の場合、エクスポートができません
・有償テンプレート ※必要な場合はチケットよりご相談ください
・ISOで作成した仮想マシンから作成したテンプレート
・エクスポート機能を無効にして作成したテンプレート
・ハードウェア専有タイプの仮想マシンから作成したテンプレート
2. インポート時、次の点にご注意ください
・テンプレート作成元の仮想マシンにISO等のアタッチがされていない状態であること
4. まとめ
ここまでテンプレート作成と、それに関連してエクスポート/インポートについてご紹介してきました。今回は詳しく触れませんでしたが、冒頭で記述した通りテンプレート作成方法にはインポート以外にも対象仮想マシンのディスクや取得したスナップショットから作成する手法があります。
仮想マシンの複製やリージョン、別アカウント同士でのテンプレート利用など、シーンに合わせた方法で実施ください。