はじめに
こんにちは、IDCフロンティア カスタマー本部サイトオペレーション部の片寄です。
サイトオペレーション部はデータセンターにご来館いただくお客様の対応やお客様機器への作業代行等データセンターサービスの提供を担っている24時間常駐部門です。
今回は業界でも先進的な取り組みである、東京府中データセンターに導入した顔認証受付システムについてレポートします。
導入の動機
データセンターの入館における課題
データセンターはお預かりしている機器やデータの特性上、誰でも入れる建物ではなくご契約されたお客様とそのお客様の認めた関係者のみが入館入室可能です。
加えて、入室する関係者が認められた関係者本人かを確認します。
これらの手順をひとつずつ確認することで、セキュリティを担保し入館入室することができるのですが、その一方で、緊急対応でご来館されている場合にも入館入室までに時間を要し、結果利便性(CS)が下がるという相反する課題を持ち合わせています。
また、セキュリティを維持するため、セキュリティカード、ラック鍵の管理、紛失、渡し間違い等が起きない、万一起きた時の対応他運用に関わるスタッフの負荷も高いのです。
これらはデータセンター運営に関わる方で、同じような課題を持っておられる方は多いのではないでしょうか。
■新データセンター建設・課題解決
IDCフロンティアでは、2012年の福島白河市以来となる東京都府中市にデータセンターを開業するにあたり、入館の課題解決もあわせて実施検討しました。
●課題解決のポイントは・・・
ポイント1:セキュリティを担保する事
当然ながらセキュリティを損なわない事が1番目のポイントです。
ポイント2:受付時間の短縮、行列を作らない
入館するまでの来館者の手間を軽減、受付に行列を作らない。
ポイント3:受付にかかわるスタッフの負荷を低減させる事
受付に関わる運用を一から見直し、受付にかかる時間とプロセスの圧縮。
●検討の結果採用したのは・・・
- 顔認証+静脈認証による入館入室セキュリティの導入
- カスタマーポータル連動の無人受付機の導入
- 顔認証+静脈認証によるキーレス解錠の導入・物理鍵管理の廃止
導入後
2020年12月に開業した東京府中データセンターは現在1日平均約50名、月間約1000名の入館者が来館されます。
ご利用中のお客様の特性上、構築工事のための入館が多いため1度に複数人のグループ単位で来館されます。そのピークは朝9時前後に集中していますが、3台設置している顔認証受付システムの入館受付に行列ができるようなことはなく、顔認証機能付セキュリティゲートを通り、データセンターへスムーズに入館していただいています。
無人受付機への登録とセキュリティゲート通過の様子は、動画の 0:45 あたりよりご覧いただけます。
www.youtube.com
仮に同条件で弊社の旧来型のデータセンターで受付をした場合、来館者が受付シートに記入、1~2名の受付対応者で来館者が記入した受付用紙と登録情報を照らし合わせ、身分証明書確認、生体認証登録、鍵の受け渡しに1名5分ほどかかります。
グループで来館されるので行列は必至、目的のデータセンター入館ができるまでに相当時間がかかっていたと想像されます。
また対応する受付者の負荷も入館者数に比例して確実に高くなり早く入館したい来館者の皆様と、早く入館させたい受付スタッフで毎朝混沌していただろうと想像します。
●期待どおりの効果:セキュリティを担保しつつ利便性を向上
- 無人受付機、生体認証による受付に関わる入館者の省力化
- ピーク時に行列のできない受付
- 一定期間内であれば、受付なしで顔認証のみで入館可能
- 受付へのスタッフ常駐体制が不要になり業務負荷軽減
- 紛失確認等カードキー、ラック鍵の管理負荷ゼロ
- 弊社他データセンターと比較した削減工数:
入館者受付:1,000名x3分= 50時間(3,000分)/月
カードキー、ラック鍵管理:1日2時間x30日= 60時間/月
●期待プラスαの効果:コロナ禍における感染予防効果
- キーレスによる接触頻度低減
- ご自身で生体認証登録できる方が多く、対面での説明機会はほぼ発生しなかった
ただ、期待通りではなかった事もあります。 入館予定者は事前に発行されたQRコードを無人受付機にかざし入館受付を開始するのですが、そのQRコードを忘れて来館される方がいらっしゃいます。
その場合データセンタースタッフによる確認と臨時の受付対応をワークアラウンドとして設けているのですがQRコードを忘れる方が意外に多く手間がかかっています。
顔認証の読み取りや免許証の読み取りその他機器的なエラーは想定していたのですが、QRコードを忘れる、持っていない入館者が思ったよりも多いのは想定外でした。
●想定外だった事
- 入館用QRコードを忘れる来館者
- 臨時対応に想定外の運用負荷
まとめ
想定外の運用負荷はあるものの、顔認証、無人受付の導入によりデータセンターの入館に関する課題解決に一定の成果を得られたと考えています。
また、非接触型の入館ソリューションは感染症のリスクを最小限に抑えニューノーマル時代に適した入館受付の新しい形を示したとも考えています。
今後もお客様視点で、より快適にデータセンターをご利用いただけるよう課題解決に取り組んでいきます。