みなさまはじめまして、UX開発部の橋口です。
今回の記事は、IDCFクラウドの東日本リージョン2に採用された、新ネットワークアーキテクチャである「VXLAN over CLOS」についてです。
「VXLAN over CLOS」の設計思想や、今までのアーキテクチャと比べ何が違うのかなどを書いていきます!
VXLAN over CLOSとは
IDCフロンティアの新ネットワークアーキテクチャである「VXLAN over CLOS」は、ネットワークをオーバーレイとアンダーレイという2つの階層に分けた設計になっています。
オーバーレイは、トラフィックをカプセル化する仮想的なネットワーク層です。アンダーレイは、いわゆる物理的なネットワーク層であり、オーバーレイでカプセル化されたトラフィックを転送します。
このようにオーバーレイとアンダーレイの2階層に分離することにより、シンプルな設計になっています。
アンダーレイ:CLOS (IP Fabric)
CLOSの考えとしては、小さなインターネットを作ると考えていただければわかりやすいと思います。 実際に今もインターネットを支えているBGPを用いて、多数の機器を相互に接続し、最適な経路を導き出しています。 これにより、一般的なL2ネットワークに比べ拡張性を高めたり、帯域の有効活用を実現しています。
オーバーレイ:VXLAN
VXLANでは、マルチテナントのネットワーク、個別のプライベートなネットワークの構築を行っています。 全サービスで一意なID(VNI)を付与することが可能になり、VLAN4000の壁に捉われない柔軟性に優れたネットワークの設計が行えます。
CLOSの拡張性、VXLANの柔軟性を組み合わせた次世代のネットワークアーキテクチャが「VXLAN over CLOS」というわけです。
VXLAN over CLOSのメリット
「VXLAN over CLOS」には大きく下記の2つのメリットがあります。
- 新ネットワークアーキテクチャ間のL2接続が容易に可能
- 拡張性の高い設計思考
それぞれ説明していきます。
1.新ネットワークアーキテクチャ間のL2接続が容易に可能
現在、下記サービスがVXLAN over CLOSで構成されています。
- IDCFクラウド 東日本リージョン2
- プライベートクラウド
- データセンター(ハウジング)
これらのサービス間は、シームレスなL2ネットワークで接続することが可能です。
これにより、例えば下図のように異なる環境で収集・蓄積したデータを簡単に連携させることができます。
IDCFクラウドのゾーン間接続の申し込み方法については、こちらをご参照ください。
2.拡張性の高い設計思想
以前の構成では、各ネットワーク機器がActive-Standby構成となっており、Standby側にはトラフィックが流れていませんでした。しかし「VXLAN over CLOS」ではActice-Active構成となったため、全てのLinkや機器にトラフィックを流すことができ、通信効率と拡張性の向上を実現しました。これにより、各サービス間のネットワークは、従来比の16倍の帯域になりました!
また、耐障害性も向上しています。Actice-Active構成のため、ネットワーク機器の故障時に切り替えが起こらず、縮退のみで留めることができるため、サービス断が発生しなくなりました。
今時はユーザーからすると、内部ネットワークはあまり意識することのない部分ですが、このようにチャレンジと改善を積み重ねることにより、日々サービス品質の向上に努めています!
まとめ
IDCフロンティアが新たに採用したネットワークアーキテクチャ「VXLAN over CLOS」の以下2つのメリットについて紹介しました。
- 新ネットワークアーキテクチャ間のL2接続が容易に可能
- 拡張性の高い設計思考
より技術的な内容については、IDCフロンティアの見崎より「JANOG39 Meeting」にて発表しています。
詳しく知りたい方は、下記URLより資料をご覧ください!
https://www.janog.gr.jp/meeting/janog39/application/files/8514/8478/6659/JANOG_IDCF.pdf
今後もシンプルかつパワフルなクラウドを目指し、機能やユーザビリティの向上に努めてまいります!